「ママが起こしてくれなかった」
テスト当日の朝、中3の長女が涙目でそう言いました。
……いや、起こしたよ? むしろ、きゅうりの塩もみみたいに揉んだよ?
今日は、長女の定期考査をめぐる、笑えて、ちょっと泣けた、約1か月間の話です。
おはようございます。うたです。中3・中1・小3の娘3人を育てています。
きっかけは、高校の説明会でした。
志望する高校に必要な学力と、今の自分の成績。長女はその二つを見比べて、「やばい」と思ったみたいです。誰かに言われたわけじゃありません。自分で、です。
私はこれまで、できるだけ「勉強しなさい」を言わないようにしてきました。何度も失敗しながら、それでも。だからこの「自分でやばいと気づいた」瞬間、内心はガッツポーズでした。やっと、という気持ちと、まぶしさと。
そこからの長女は、人が変わったようでした。寝る間も惜しんで、机に向かう。目が、ギラギラしていました。
クラスの男子に、そう言われたそうです。
本人からその話を聞いて、つい笑ってしまいました。確かに、あのころの長女は目尻がきゅっと上がって、ちょっと怖かった(笑)。でも、その“怖い目”が、私にはまぶしくて仕方なかったんです。
ある夜のこと。長女は「深夜に起きて続きをやる」と目覚まし時計をかけて、いったん眠りました。私も「ちゃんと起こしてあげなきゃ」と思っていました。
時間になって、私は娘を起こそうとしました。揺すって、肩を揉んで、背中をさすって、声をかけて。それはもう、きゅうりの塩もみみたいに、必死で揉みました。
……でも、起きない。ぴくりともしない。
そして気づいたら、起こしているはずの私のほうが、隣で力尽きて寝落ちしていました。
朝。
「ママが起こしてくれなかった」と、長女が涙目で言いました。
いや、起こしたよ!? あんなに塩もみしたのに! ……という心の叫びと、でも結果として起こせなかった申し訳なさが、同時に押し寄せてきて。「ごめんね」と謝りながら、内心はものすごく複雑でした(笑)。
白状すると、あの数日は私もずっと寝不足でした。仕事をしながら、心のどこかで「どうか、テストがうまくいきますように」と、ひそかに願をかけていたんです。親って、こういうとき、本当に何もしてあげられないんですよね。ただ、祈ることくらいしか。
そして迎えたテスト。
結果は——成績が、上がりました。寝坊した朝のぶんも、本人がちゃんと取り返したみたいです。
塾に通わせていない我が家で、私がいちばん育ってほしかったのは、たぶんこの“自分で気づく力”でした。点数そのものより、ずっと。それは、お金で買えない財産だなあと、しみじみ思った、ひと月でした。
実は、この話には続きがあります。
長女の必死な姿は、中1の次女にもうつりました。「お姉ちゃんがやってるなら」と、次女もテスト勉強をがんばり始めたんです。姉の背中が、妹を動かす。いいぞいいぞ、と思って見ていました。
でも、現実はそんなに甘くありませんでした。次女は社会の暗記にとても時間がかかってしまって、立てた計画どおりに進まない。一生懸命やったのに、成績は思うように伸びませんでした。
そして、成績表を見せてくれない事件が起きました。
見せたくない、という気持ち。痛いほどわかります。私は、責めませんでした。同じようにがんばっても、結果が同じとは限らない。そのことを一番悔しく感じているのは、きっと本人だから。
そして、忘れてはいけない子が、もう一人います。
小3の三女です。
上の二人が「テスト、テスト」と張り詰めていた約1か月。正直、私も長女と次女のことで頭がいっぱいでした。気づけば三女は、一人で布団に入り、一人で遊んでいて。口には出さないけれど、どこか少しだけ、寂しそうにしていました。
ごめんね、と思いました。手のかかる上の子たちに気を取られているあいだ、いちばん下のこの子が、いちばん静かに我慢していたのかもしれない。テストや思春期の陰で、置いてけぼりにしていなかったか——胸が、ちくりとしました。
長女と次女。同じ家で、同じように「がんばった」のに、片方は実って、片方はうまくいかなかった。きょうだいって、こういうところがあります。
親にできるのは、結果だけで測らずに、その必死さをちゃんと見ていること。そして、見せたくない気持ちは、そっとしておくこと。それくらいなのかもしれません。
やる気は、親が言って出るものじゃない。子どもが自分で気づいたとき、目つきが変わる。私はそれを、今回の長女に教わった気がしています。次女にも、きっといつかその朝が来る。そう信じて、また今日も、見守るだけの母をやっています。
そして今夜は、いちばん下の三女を、いつもより少しだけ長く抱きしめて眠ろうと思います。
あなたの家では、テスト前、どんな朝をすごしていますか?
今日も読んでくれて、ありがとうございました。

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