「お金を残す」より、「お金と付き合う力」を。
老後資金のことは、私にもずっと不安があります。私自身も、長期投資でコツコツ備えている最中です。それでも私は、自分の老後の不安が消えるのを待たずに、先に「子ども 名義 口座」を作りました。順番が逆かもしれません。それでも私にとっては、これが「先」でした。
これは、お金を“残す”ことより、お金との“付き合い方を渡す”ことを選んだ——そんな、一人の母親の話です。
おはようございます。うたです。中3・中1・小3の娘3人を育てています。
教育費、住宅費、毎日の生活費。そして、自分たちの老後資金。
40代も後半になると、お金の不安は減るどころか増えていきます。「老後資金 不安」という言葉が、もう他人事じゃない。自分の足元の話です。
普通に考えたら、自分の準備が万全になってから子どものことを——そう考えるのが、たぶん自然だと思います。私自身も、長期の積み立てで老後に備えてはいます。
それでも私は、「自分の不安が消えてから」を待ちませんでした。不安な今だからこそ、先に子どもの口座を作ったんです。
誤解されたくないので先に書きます。これは「子どもに大金を残したい」という話ではありません。
むしろ逆で。大金を渡しても、有意義な使い方ができなければ、意味がない。そう思っているからこそ、お金そのものより、お金との上手な向き合い方を渡したいと思いました。
きっかけは、ある一冊の本でした。貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う。お金には5つの力があると知って、目からウロコだったんです。
私はそれまで、お金は「節約してなんとかするもの」だと思っていました。でも本当は、付き合い方を学べるものだったんですね。
それを、子どもにも早いうちから渡したい。子ども 金融教育とか子ども お金の教育って難しそうに聞こえるけれど、入り口は「自分の口座を持つ」という小さなことでいいと思ったんです。
私は以前、ケアマネジャーとして高齢者の暮らしを支える仕事をしていました。
忘れられないご家庭があります。
シングルファザーのお父さんが、2人のお子さんを育てながら、ご自身の親御さんの在宅介護をしていました。生活費のために働き、家事もして、介護もして。お子さんのひとりは、学校に通えずにいました。
そのお父さんは、本当に必死でした。それでも暮らしは、じわじわと苦しくなっていく。
私はケアマネとして、「もっと暮らしを楽にする方法はないか」と考えました。使える制度を一緒に探したり、ときには「固定費を見直してみるのも、ひとつかもしれません」とお伝えしたり。とはいえ、ご家庭のお金そのものに踏み込むことはできません。ケアマネにできるのは、選択肢をそっと差し出すところまででした。
そのとき強く感じたんです。介護を受けていた親御さんは年金収入だけで、お金の面ではお子さんに頼りきりでした。お金との付き合い方を誰も習わないまま大人になり、年を重ねていく。それが巡り巡って、次の世代の負担になることがある。
「お金が少ないこと」だけが苦しさじゃない。「お金との付き合い方が分からないこと」も、同じくらい人を追いつめる。私はそれを、現場で何度も見てきました。
だからこそ、わが子には早いうちから、お金とちゃんと付き合う力を持ってほしいと思ったんです。
この考えは、何冊かの本にも背中を押してもらいました。
『DIE WITH ZERO』には、お金は貯めて残すことより、生きているうちに経験へ使うことが人生を豊かにする、と書かれています。子どもにお金を渡すにしても、亡くなってから“遺す”のではなく、本当に役立つときに手渡したい。そんな視点をもらいました。
『バビロン大富豪の教え』が教えてくれるのは、もっと素朴なこと。収入の一部を、まず自分のために取り分けておく。お金と付き合う基本の“型”です。
『となりの億万長者』で救われたのは、お金持ちって見栄を張る人じゃなく、堅実にコツコツ続ける人だという話。派手じゃなくていいんだ、とほっとしました。
どれも「これで増える」というテクニックの本としてではなく、お金との向き合い方として、心に残っています。
正直に言うと、迷いはありました。
私はお金の専門家じゃない。こんな私が子どもにお金を教えていいのかな、と。
でも、親が完璧に教えられなくても、一緒に学べばいい。そう思い直したら、気が楽になりました。
それで、一歩を踏み出しました。今、わが家では私と三姉妹それぞれが、ネットバンキングの未成年口座と証券口座を持っています。地方銀行のジュニアNISAからネット証券へ移し、インデックス投資と日本の高配当株を、少しずつ。今年は、子ども向けの新しい非課税の枠も始める予定です。
口座に入れているお金は、もともとは出産のお祝い金や、コツコツ取っておいた児童手当。子どもたちのために貯まっていたお金です。そして私自身の口座でも、同じように長期投資で老後資金を少しずつ育てています。子どもに渡したい「淡々と続ける」を、親の私も実践中、というわけです。
毎月の投資にまわすお金は、家計を少し見直して捻出しました。やったのは、固定費の見直し。通信費や保険など、毎月かならず出ていくお金を整えるだけで、けっこう変わるんです。——これ、じつはケアマネ時代に、あのお父さんに「見直してみるのもひとつかも」とお伝えした方法でした。あのときは言葉にすることしかできなかった。その方法を、今は自分の家計で実際にやっている。なんだか不思議な気持ちになります。
とはいえ、切り詰めるばかりだと続きません。だからわが家の家計簿は、「たまには贅沢OK」と決めて、メリハリをつけるスタイルにしました。我慢の記録じゃなくて、納得してお金を使うための記録。そのほうが、私には長く続けられました。
ひとつ、わが家でしっかり守っていることがあります。投資に回しているお金は、子どもの教育費には充てません。教育資金は、また別に、現金できちんと預金しています。値動きのある投資と、近い将来にかならず使う教育費は、はっきり分けて考える。お金の「守る」力って、たぶんこういうことなんだろうなと思っています。
(※未成年の口座や非課税制度は、内容や名称が変わることがあります。実際に始めるときは、それぞれの金融機関で最新の条件を確認してくださいね。)
口座ができてから、わが家の会話は少し変わりました。入金されたお金を一緒に見る。残高を確認する。将来やりたいことのために、どう備えるか話す。
最近は、毎月のお小遣いやお年玉で手元に貯まったお金を、子ども自身に考えてもらうようにしています。「このまま預金しておく? いざというときの“生活防衛資金”として置いておく? それとも、投資に回してみる?」——どれが正解ということではなく、自分のお金を自分で決める。その小さな積み重ねが、いちばんの金融教育になっている気がします。
親子でお金を学ぶって、机に向かう勉強じゃないんですね。画面を一緒にのぞきながらの、ほんの数分の会話。それで十分でした。
実際にやってみて、いちばん感じたこと。
それは、SNSやいろんな情報の誘惑に惑わされず、淡々と積み上げていく長期の投資が、結局いちばん強い、ということでした。
「もっと増える方法」「今が買い時」——そういう声は、毎日のように流れてきます。でも、それに振り回されないこと自体が、ひとつの力なんだと思います。
完璧な正解を探すより、続けられる仕組みを作るほうが大事。不器用な私には、これがいちばん合っていました。
子ども 投資 教育というと身構えてしまうけれど、伝えたいのは派手な儲け方じゃありません。惑わされず、コツコツ続ける。その姿を、隣で見せていけたらと思っています。
どれも「これをやれば増える」というテクニックの本ではなく、お金との向き合い方を教えてくれた本です。気になるものがあれば、ぜひ。
『LIFE SHIFT』が言うように、これからは人生100年の時代。子どもたちは、私よりもっと長くお金と付き合っていきます。
私は、自分の老後が不安です。だからこそ——子どもには、同じ不安を背負わせたくない。
子ども 名義 口座を作った日は、私にとって、「お金を残す」より「考える力を渡す」と決めた日でした。
お金をたくさん残せる親ではないかもしれない。でも、お金と向き合う力を一緒に育てる親でありたい。

コメント